東京都内の新設保育所の内、いくつかが開所を延期したそうです。
原因は建築工事の遅延等ではなく「周辺住民の反対運動」なのが驚きです。

保育所作りたくても… 住民が騒音など懸念、延期相次ぐ
朝日新聞 2015年3月30日16時53分

4月の入園募集を始めていた東京都内の認可保育園が、開園を延期していたことがわかった。子どもの声による騒音などを心配した住民から反対運動が起きたのが原因。待機児童数が全国最多の東京では、子どもの声を騒音規制の対象から外す都条例が4月1日に施行されるが、抜本的な解決につながるかは未知数だ。

■募集開始後に開園延期
 東急東横線の都立大学駅から徒歩約5分の住宅地、東京都目黒区平町2丁目。ここに4月、認可保育園「とりつだいさくらさくほいくえん」(定員62人)が開園する予定だった。
 区は昨年11月、区報で入園募集を始めた。ところが翌12月に突然、保育園運営会社ブロッサム(東京都中央区)がホームページで「諸般の事情」を理由に延期を発表。今も開園のめどは立っていない。
 保育園は、住宅地の中にある約320平方メートルの元工場(鉄骨2階建て)を改装する計画。敷地は2方向で道路に面し、一つは車がすれ違えないほど狭い。
 区報で計画を知った住民から、子どもの声による騒音や送迎の車による問題を心配する声が相次いだ。園を認可する都に複数の住民が不服の申入書を提出。反対署名が約220人分集まった。
 住民には高齢者が多い。年配の女性は「保育園と家の距離がほとんどないのに防音はできるのか」。不服の申入書を出した年配の男性も「何の事前説明もなく、募集が始まった」と不信を強める。
 区が同社を選んだのは、入園募集を始める直前の昨年10月末。同園に約8千万円を補助する予定だった区の保育計画課は「待機児童問題は深刻で、4月の開園に間に合わせる必要があった。運営会社が住民の理解を得ていると考えていた」と釈明する。
 同社は「近隣住民に説明する時間がなかった。防音や送迎の車への対応はしっかりする。開園後は施設を地域に公開し、近隣の意見を聞きながら運営する。住民の理解を得られるよう努めたい」と話す。
 区は4月に174人の定員増を予定していたが、今回の開園延期と保育士不足のため計92人減り、定員増は82人にとどまった。4月入園の1次申し込みで認可園に入れなかった児童は1116人で、前年に比べ約200人増えた。
 区内で2年連続で認可園に子どもを預けられなかった30代の会社員女性は「保育園が一つできないことで区内全体の子どもが影響を受ける」と憤る。

(以下省略)
http://digital.asahi.com/articles/ASH3W76FKH3WUTIL04M.html

記事で取り上げられている「とりつだいさくらさくほいくえん」のホームページは「リニューアル中です」と表示されています。
なお、運営会社「ブロッサム」(大阪市内でも複数の保育所を運営中)のホームページには「2015年4月1日OPEN! 東京都目黒区平町2丁目の認可保育所」と記載されたままです。

開所予定場所は目黒区平町二丁目2番20号です。
環七通り大岡山小前交差点の北西すぐ、大きな一戸建てや低層マンションが多い閑静な住宅街の中の四つ角の一角です。
東西方向(ストリートビューでは右前方)の道路は速度を落とせば車がすれ違える幅員ですが、南北(左前方)方向は難しいです。

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都立大学駅まで徒歩10分程度の住宅街に新設される保育所であり、入所を検討していた子育て世帯は少なくない印象です。
同保育所は大岡山小学校に近いのが大きなメリットです。
保育園児と小学生の児童がいる世帯にとって、保育所と小学校のお迎え(学童保育)がほぼ同じ場所で済むメリットは極めて大きいです。

一方、住民からの反対意見はやや解せません。
確かに園児の声等による騒音や送迎の自動車駐車による交通問題は発生する可能性が高いです。
運営会社も説明不足を認めています。

しかし、この建物は以前は工場として利用されており、保育所に匹敵する様な騒音・運送用車両の通行があったのではないでしょうか。
また、大岡山小学校から発せられる子供の声は保育所以上の音量でしょう。
記事で反対意見を述べている年配者の平穏な生活の為に、子育て世帯が安心して仕事に打ち込め、子供を安心して預けられる保育所の新設が阻害された形でしょうか。

【ニュース】東京23区は平成27年4月も21,000人が保育所へ入れずによると、目黒区の入所募集数は前年比ほぼ横ばい(正確には82人増)でしたが、入所申込数は大きく増加していました。
結果的に入所できなかった児童は前年より約200人も増加してしまいました。
子育て世帯が憤るのも当然です。