【ニュース・訂正あり】保育園の開園断念「子供の声うるさい」 千葉県市川市の続報です。

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(4/13追記)
【市川市・保育園断念】設置予定法人は成未会(松戸市)・近隣20戸が団結して反対も掲載しています。
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建設予定地は住宅密集地のど真ん中

保育施設利用のご案内及び報道によると、開園を予定していた場所は「市川市菅野4-1-9(リフォーム会社の跡地)」だと考えられます。京成本線菅野駅から北東へ徒歩5分、戸建住宅が密集する地域です。

建設予定地は駐車場の南西側、オレンジ色の屋根と黒色の屋根に挟まれた場所です。白い屋根が見えるか、もしくは更地化されて表示されています。

ストリートビューで見える建物は現在は撤去されています。建設予定地は更地となっています。

この地域は戦前から住居が多く集まっていました。建設予定地は戦争直後の時点で小さな住居らしき物が確認できます。ただ、周辺一帯は未だ田畑として利用されていました。
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(戦後直後の様子、国土地理院より)

これらの土地の多くは1970年過ぎに宅地化された様子です。
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前面道路は幅員約3メートルの抜け道

保育園の建設予定地は住宅街の生活道路に接しています。幅員は約3メートルです。実はこの道路、一方通行ではなくて対面通行だそうです。片方の車輌が道路幅がやや広い部分に止まる等して、辛うじてすれ違える状況だそうです。

終戦直後の航空写真と比べる限り、幅員は70年経っても大きくは変わっていない様子です。70年前に住居が殆どなかったのは、この道が道路として認識されていなかったからかもしれません。集落内の抜け道的な感覚でしょうか。

南側の大型マンションに接する部分は約1メートルほど拡幅(セットバック?)され、徐行して対面通行できる幅員となっています。しかし、それより北、保育園が接する部分の幅員は狭いままです。仮に送迎用車輌が止まったら、この道路は途端に機能不全に陥ります。

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この道路は生活道路として利用されると同時に、抜け道としても利用されているそうです。この地域は大型商業施設が多くて住居が密集しているにも関わらず、いわゆる幹線道路等が適当に整備されていません。すぐ東に県道51号線がありますが、航空写真からでも混み合っている様子が分かります。

https://twitter.com/kawanabesatou/status/719836060453179392
実際に道路を利用した方も指摘しています(余談ですがハムスター写真集、拝読しています)。

定員108名の大型保育園

建設を予定していたのは定員108名の保育園でした。この規模、実は平成28年4月に開園を予定していた保育園の中では最大の物でした。他の保育園の定員は36-64名となっています。都市部では敷地等の関係から大規模な保育園の設置が難しく、定員50-60名前後の規模の保育園の新設が多くなっています。

園舎は大型の木造建設が予定されていました。敷地はやや余裕があるので、南部か東部に小さめの園庭を設置する予定だったのでしょうか。園庭がない保育園が増えている中、比較的恵まれている立地です。

散歩への不安

仮に園庭が設置されるとしても、園外へのお散歩が日常的に行われると推測されます。狭い道路に自動車が進入した場合、2人で手をつないで歩いている園児をすれ違うのは恐ろしさを感じます。実際には自動車が来る度に園児を1列にさせて端っこに身を寄せるのでしょう。

園児の中には急に飛び出す子もいるでしょう。年長・年中といえども、園児2人に付き保育士1人が付き添う必要があるかもしれません。

無視できない騒音問題

やはり騒音問題は無視できません。100名以上の園児に加え、20名以上の職員も保育園で過ごすこととなります。送迎する保護者も加えると、更に多くの人間がこの一角に集中します。

保育園からは様々な音が鳴り響きます。園児や職員の泣き声や話し声に加え、走り回ったり楽器を奏でる音も聞こえてくるでしょう。防音壁を設置する・大きな音が出る活動に時間制限を設ける等、何らかの対策が求められたでしょう。説明会でもこうしたやりとりはあった筈です。

園児がうるさいのは仕方ありませんが、保護者の話し声や自動車の騒音も気になります。狭い住宅街の道路で大人数人が立ち話をしていたら、近隣住民としては溜まった物ではありません。園外での騒音は保育園として注意喚起はできますが、より積極的な対策はしにくいです。

この地域で住宅が形成された時期から、周辺には定年後の生活を過ごしている高齢者が数多く生活していると考えられます。仮にマンションばかりであれば、騒音問題に対する批判はここまで強くなかったでしょう。町内会等で積極的に活動している高齢者も多く、より大きな反対に繋がったと考えられます。

既設の市立菅野保育園との違い

建設が予定されている地域には、既に市川市立菅野保育園があります。新設保育園の建設予定地と比較してみます。

断念した保育園(ししの子保育園)市立菅野保育園
設置主体市外の社会福祉法人市川市
建設時期2016年1980年頃か
建設当時の周囲の状況住宅密集地住宅の形成途上
前面道路の幅員約3メートル程度、離合困難約4.5メートル
定員108名120名

周囲の道路・住宅状況に加え、やはり設置主体の違いも無視できません。新設保育園は松戸市の社会福祉法人が設置主体となる予定でした。市川市内の地域事情に詳しくなく、3回にわたって行われた説明会が紛糾したと推測されます。

仮に地元に何らかのゆかりがある主体であれば、地域住民との落としどころも見つけやすかったのでしょう。しかし、説明会で折り合いがつかず、自治体も上手く調整できないままという印象です。

周囲の状況等は日テレが上手くまとめて報道しています。こちらもご覧下さい。毎日新聞の報道と大きくニュアンスが異なります。
http://www.news24.jp/articles/2016/04/12/07327169.html