以前に保育士優先枠を設けた、保育施設利用調整の改正案が公表されています、で掲載した内容の続報です。
保育士の子供が保育所等へ入所申請をした場合、最優先で利用調整を行う制度が平成29年4月から導入される見込みとなりました。

保育士の子どもの優先入所

最優先で利用調整ができる条件は、〔1〕保育士のいる世帯であること、〔2〕その保育士が大阪市内の保育所等に勤務すること、〔3〕その保育士が「月20日以上かつ週30時間以上」または「週5日以上かつ1日6時間以上」の勤務をすること、〔4〕その保育士が派遣職員ではないこと、です。

http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kodomo/0000375851.html(以下同じ)

また、保育士に対する保育料一部貸付事業も導入されます。

平成28年12月以降に大阪市内の保育所等に新たに直接雇用されて勤務する保育士が、その保育士の子どもを保育施設等へ預ける場合に、その保育料の2分の1(上限2万7千円)を勤務開始月から1年間貸付けます。
大阪市内の保育所等に継続して2年間勤務した場合、その返還を免除します。

どちらの制度も保育士が保育所等を利用しやすくなり、保育士不足の解消に繋がる効果が期待できます。

その反面、市中心部等で募集数が少ない保育所等においては、保育士以外の児童が入れなくなってしまうケースが発生する懸念があります。
また、保育料一部貸付制度は、内容・金額(20万円以上?)によっては課税(雑所得?)される恐れもあります。

大阪市が実施する保育士支援制度

待遇が決して良いとは言えない保育士を経済的に支援する為、大阪市は様々な形の制度を設けています。今年から新たに導入された制度をまとめてみました。

名称上限額・内容対象(市内勤務に限る)
就職準備金20万円を貸付潜在保育士
就職支援金2年で20万円を支給新規採用保育士
宿舎借上支援月額82,000円借上宿舎を利用する保育所等
保育所等の優先枠最優先で利用調整を行う市内の保育所等へ申し込んだ保育士
保育料の一部貸付月額27,000円を1年間貸付(2年勤務で返還免除)市内の保育所等を利用する保育士

支援を行う対象にメリハリが付けられているのが特徴的です。大阪市が重視しているのは「地方出身者」「就職時」「保育士自身が保育所等を利用する場合」と読み取れます。

つまり、「より多くの地方出身者に大阪市内の保育所等へ就職してもらい、出産後も保育士として働いてもらいたい」という意図があるのでしょう。

一方、殆どの制度は対象期間が限定されています。支援制度が終了した後は、保育士として継続的に勤務を促す効果はありません。就職等へは支援を行う一方、継続的な勤務に対する支援は乏しいです。離職率は高止まりしてしまう可能性があります。

保育士不足を理由として、保育所等の受入人数が制限されてしまうのは残念な話です。こうした制度が利用される事により、保育士・保育所等・保護者の何れもがメリットを享受できるのが望ましいです。

10月3日から平成29年度一斉入所申込が始まります。保育士不足が少しでも解消されるのを願うばかりです。